研究内容
μ-PIC を用いたタイムプロジェクション・チェンバー(TPC)
を動作原理とした、
表面アルファ線イメージ検出器(
AICHAM)を開発し、
この検出器を用いた高感度な試料分析を実施しています。
これまで、地下実験グループの枠を超えて、
ニュートリノ実験、暗黒物質探索実験、0νββ探索実験の材料分析を実施してきました。
アルファ線の飛跡を3次元で再構成することができるため、
サンプル表面のどこからアルファ線が発生したか同定することができ、
極低放射能雑音で、高感度な分析を実施できるユニークな分析手法です。
現在の分析限界は〜10⁻⁴ alpha/cm²/hr (90%CL)を達成し、分析を継続しています。
さらに分析感度向上するための技術開発研究も並行して行っています。
μTPC技術を用いた分析装置開発
μ-PIC を用いたタイムプロジェクション・チェンバー(TPC)を動作原理とした、 表面アルファ線イメージ検出器を開発し、 この検出器を用いた高感度な試料分析を請け負っています。アルファ線の飛跡を3次元で再構成することができるため、 サンプル表面のどこからアルファ線が発生したか同定することができ、 極低放射能雑音で、高感度な分析を実施できるユニークな分析手法です。

画像化できる大きなメリットは、 複数サンプルを同時に測定できる点でしょうか。
上の写真にも載せましたが、15cm×15cmの有効面積に、10mm角ほどの小さい結晶を7つ同時に測定した事例です。
このような新素材の分析検査では、質量を稼げないこともあり、 小型サンプル測定で同時に測定できる手法が比較検査で有効です。
2018年から分析運用を開始し、地下宇宙素粒子実験の検出器のための素材分析を実施しました。
2021年度、分析感度改善のために、TPCフィールドケージをアップグレードし、9月に安定動作で分析できるようにしました。
2022年度、KamLAND実験グループのPENフィルムシート、 NEWAGE実験グループの銅リボン、 東京大学および東北大学で開発しているシンチレータ結晶 (上の写真と得られる汚染画像)の表面アルファ線分析を実施しました。
2020年度から2021年度は、科研費 新学術領域「地下宇宙」公募研究の支援を受けています。
2024年度から2028年度は、科研費学術変革領域A「地下稀事象」の支援を受けています。
この方針に従い、地下素粒子分野だけでなく他の分野領域での広い活用も目指しています。
論文、研究報告
- 国際学会 ICRC 2025 Proceedings (英語)
"Measurement of the emissivity of surface alpha particles based on the gaseous μTPC with optics in a low radioactive backgroun"
(準備中)
- 第10回 極低放射能技術研究会 2024年度 (日本語) スライド
"D01: 表面アルファ線イメージ分析"
(pdf)
- 学術変革「極稀事象で探る宇宙物質の起源と進化」領域研究会 2024 スライド(日本語)
"D01班: 極低放射能 表⾯αイメージ分析技術の開発と応⽤"
(pdf)
- 国際学会 ICRC 2023 Proceedings (英語)
"Screening ultra-low alpha emissivity from the material surface based on a gaseous TPC with PMTs"
(PoS)
- 第9回 極低放射能技術研究会 (日本語) 2023年度 スライド
"極低放射能アルファ線分析の最近の動向とガス発光を用いた検出器開発の展望
(pdf)
- 国際学会 UGAP 2022 スライド(英語)
"Alpha particle imaging chamber (AICHAM) for screening LowBG surface RI contamination"
(pdf)
- 新学術「地下宇宙」領域2021年領域研究会 スライド(日本語)
"D班: 極低放射能測定におけるμ-TPCを⽤いた表⾯アルファ線イメージ分析装置の開発"
(pdf)
- 新学術「地下宇宙」領域+極低放射能技術の合同研究会(2020年) スライド(日本語)
"極低放射能測定におけるμ-TPCを⽤いた表⾯アルファ線イメージ分析装置の開発
(pdf)
- 国際学会 TAUP 2021 Proceedings 2021 (英語)
"A progress of upgrading α-ray imaging chamber in a low background radioactivity
(J. Phys: Conf. Ser.)
- 学術雑誌 Nucl. Instr. Meth. A 953, 163050 (2020) (英語)
"Development of an alpha-particle imaging detector based on a low radioactivity micro-time-projection chamber"
(NIMA),
(arxiv.1903.01090)
- 国際学会 TAUP 2019 Proceedings 2019 (英語)
"Alpha-ray imaging chamber based on a micro-TPC in a low radioactivity structure"
(J. Phys: Conf. Ser.)
メンバー
関連する研究