XMASSにおける宇宙暗黒物質の直接探索†
XMASS(エックスマス)は、岐阜県飛騨市の東京大学宇宙線研究所附属神岡宇宙素粒子研究施設の地下1000mの実験サイトで行う、極低バックグラウンドの液体キセノンを用いた多目的な宇宙・素粒子実験で、以下の3種類の観測対象を示す語句の略称として名づけられました。
Xenon MASSive detector for solar neutrino (低エネルギー太陽ニュートリノ)
Xenon neutrino MASS detector (ニュートリノの2重ベータ崩壊)
Xenon detector for Weakly Interacting MASSive Particles (宇宙暗黒物質探索)
現在、約1.2トンの液体キセノンと約640本の2-inch光電子増倍管を用いたXMASS-I検出器で、既存の20倍から50倍程度高い感度で宇宙暗黒物質(ダークマター)の直接検出を行うことを目指しています。
ダークマターの直接探索を目的とする液体キセノンシンチレーション検出器としては現在世界最大です。
ダークマターは重力相互作用によってのみ存在が確認されている物質で、銀河や銀河団の周辺に電磁波(光)によって観測される物質の5倍から6倍程度の量が存在する事が多くの観測データから示されています。未発見の素粒子である可能性が非常に高く、宇宙・素粒子物理学で近年最も注目されている研究分野の1つです。近い将来、直接観測される可能性が高く、国際的にも活発に研究活動が行われています。
XMASS-I検出器は2010年9月に完成し、現在、検出器のコミッショニングを行っています。
研究の進捗状況や検出器の写真などに関しては、XMASSの公式サイトに詳細な情報があります。
研究発表†
- Super-Kamiokande and XMASS experiments”,
The 11th Asia Pacific Physics Conference (APPC11),
Shanghai, China, November 14-18, 2010 (招待講演)
- “WIMP 直接探索レビュー”研究会「暗黒物質と銀河構造」、伊勢市、2007年9月30日(招待講演)
- "XMASS実験40:800kg検出器のデザイン"
日本物理学会 第60回年次大会(東京理科大)、2005年3月
- "Distillation purification of xenon for krypton and measurement of radon contamination in liquid xenon"
Applications of Rare Gas Xenon to Science And Technology (XeSAT2005),
Waseda Univ., Tokyo, Japan, March 8-10, 2005 (招待講演)
- "Rn assay and distillation purification of Lq. Xe for Kr"
Topical Workshop in Low Radioactivity Techniques (LRT2004),
Sudbury, Canada, December 12-14, 2004 (招待講演)
- "Recent status of the XMASS project"
32nd International Conference on High Energy Physics (ICHEP 2004),
Beijing, China, August 16-22, 2004
- "XMASS experiment 28:内部バックグラウンドの測定"
日本物理学会 第59回年次大会(九州大)、2004年3月
論文リスト†
リンク†
竹内康雄 (YasuoTakeuchi)