神戸大学 大学院理学研究科 物理学専攻 粒子物理学研究室

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研究内容

実験概要

XMASS(エックスマス)実験は、1トンの液体キセノンを用いて暗黒物質(ダークマター)を直接探索することを主な目的としています。ダークマターとは宇宙空間で観測されている物質の5~6倍を占めると考えられている未知の物質です(詳細は下記)。現在の宇宙の構造を形作った源とも考えられており、直接観測することができれば、宇宙の発展の謎の究明に大きく近づくことができるでしょう。

また、XMASS実験はダークマターだけでなく、ソーラーニュートリノ、ダブルベータ崩壊の検出にも焦点を当てた多目的実験です。これが実現できる理由は、低いバックグラウンド環境と液体キセノンにあります。岐阜県神岡町の地下約1000mで実験に不要な放射線を遮断し、純粋な水で囲われた検出器中では、ダークマターのわずかな信号もキャッチできるのです。

2008年から建設が始まり、2010年09月に建設が完了。現在、試験観測中です。将来は、サイズを大きくし多目的な約20トンクラスの検出器へと拡張していく計画です。

ダークマターとは

宇宙で目に見える物質はたった4%

宇宙が何でできているかを調べてみると、われわれが知っている、陽子や中性子など”目に見える”(観測されている)物質は全体の約4%にすぎません。その5~6倍は未知の物質、ダークマターが占めていると考えられます。残りはダークエネルギーと呼ばれている正体不明のものです(図1)。これまで観測に利用されてきたのは、光やX線、赤外線などの電磁波ですが、電磁波での観測では見ることができないため、”暗黒(ダーク)”という呼び名がついています。

ダークマター存在の証拠はいくつもある

ダークマターは様々な観測からその存在が示唆されてきました。1970年代後半、渦巻き銀河の回転速度分布を観測し、銀河内の明るい星や星間ガスではない、光では観測できないが重力を感じる物質の存在を立証しました。また、非常に重い物質(すなわち大きな重力)があると光が曲げられる、という「重力レンズ効果」からもダークマターの存在を示す証拠が得られています。

宇宙の成り立ちと密接に関わるダークマター

さらに、現在の宇宙は、銀河、銀河団、何もない空洞などが複雑に連なった大規模構造を形作っていることがわかってきました。この成り立ちは次のように考えられています。初期の宇宙のわずかなゆらぎからダークマターの密度に差が生じ、密度の濃いところは重力によってさらにダークマターを引き寄せていき、しだいにチリやガスも引き寄せ、やがて星や銀河が形成されていきました。このようにダークマターは宇宙の成り立ちに非常に密接に関わっているのです。

観測の成功は新しい物理と宇宙の謎の解明につながる

ダークマターの正体はわかっていませんが、観測事実からその性質が推測されます。(1)電荷を持たず、(2)非常に重く、(3)安定である、ことです。われわれの身の回りにも1リットルあたり約1個ほどのダークマターが存在すると考えられています。しかし、いまだ実験的に直接捕らえられていません。ダークマターの直接観測は、現在の宇宙物理の最も大きな課題の一つです。そして、ダークマターの正体がわかれば、宇宙創成のメカニズムの理解が大きく進展すると考えられます

検出原理

液体キセノンはダークマターをとらえやすい

XMASS実験は、液体キセノン(約-100℃)を詰めた検出器でダークマターを直接とらえます。液体キセノン検出器には、次のような特徴があります。(1)発光量が多く、(2)1トンクラスの大型化が容易、また、(3)液体、気体、固体の各相が利用できるため内部のバックグラウンドのもとであるウランやトリウムなどを極端に少なく出来ることです。ダークマターがキセノン原子核と弾性散乱する際にエネルギーの一部を落とし、液体キセノンがエネルギーに比例して発光します。発光された光は液体キセノンを囲んだ多数の光電子増倍管で

捕らえます。

 

既存実験の10倍の検出感度

ダークマター直接探索実験は世界中で行われており、激しい国際競争の中にあります。図6はダークマター探索実験の感度をダークマターの質量を横軸、ダークマターと核子の反応率を縦軸として示したものです。青や緑、ピンクの線は既存の実験による検出感度です。XMASS実験では、既存のダークマター探索実験の10倍の感度を持ち、いち早く超対称理論で予想されるパラメータ領域(cMSSMと書かれた領域)に大きく踏み込み、直接探索によってダークマターを発見する可能性が大きいと考えられています。

メンバー

教員

  • 竹内 康雄
  • 身内 賢太朗
 

大学院生

  • 岡 直哉
 

論文リスト

リンク

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